かいどぅ

日記など

インディーズ時代のクリープハイプはガチの暴力

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もう今ではバンド音楽を聴かない人にもある程度知れ渡って、それをネタにした物語とかもたまに見かけてしまうが、音楽を発行する機関には「インディーズレーベル」と「メジャーレーベル」という草分けみたいなものがあるのをご存知でしょうか。

簡単に言ってしまえば、もちろんインディーズレーベルでも上手くやりくりできてるバンドとかはいるし、ちょっと音楽に詳しくなって来るとインディーズにある思わぬ沼にハマることなんて今この瞬間にも誰かに起きてるんだけど、今音楽をやってる人たちの中でメジャーデビューを目指しているやつは少なくない。高校デビュー大学デビュー全部失敗してるからでしょうね。

で、メジャーデビューしたことはもちろんファンにとってもバンドにとっても嬉しいことではあるんだけど、やはりメジャーレーベルはある程度自由が効くインディーズと違い、多少音楽性に制約が効いてしまうのだ。

だからまあ、世の中にはそりゃ腐る程いるバンドの中にも、例えば建設用工業製品でライブハウスの壁をぶっ壊したり、どこの峯田とは言いませんがライブで全裸になったりと過激なパフォーマンスでファンを魅了するバンドとかいますよね。おれも世が世なら学祭で観客全員にトマトの汚ねえいろはすぶっかけたいな。

とまあ、法律がまかり通っていないスラム街のインディーズレーベル所属のバンドもメジャーレーベルに否応なしにぶち込まれたらもうそういうことができんわけですよ。

そこでねじ曲がってしまった音楽性は一般ウケというと聞こえはいいが、悪く言えばそれまで独自の音楽で作ってきたファンが離れていくわけで。そういうこともあってメジャーに行ってバンドを離れる音楽ヤリマンが日々ツイッターでネタにされる構図が出来上がるのだ。そうやって潰れていくのです、独自の世界観が。おれは、尾崎世界観の話をするぞ。

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人格形成にも多分影響と支障が出てるくらい好きなので、詳しい話とかはまた別でしたいが、簡単にグループを説明すると、まあ今でこそこういう「爽やかな曲をギリギリ作れるような、少し捻じ曲がってるバンド」というポジション。マイヘアイズバッドとシロップ16グラムと肩を並べるメンタルヘルスバンド三強。

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やはり一番の特徴としては聴力検査で要観察がつくほどに耳にズンズンくるギターのハイフレットみたいなクソ高い声。高すぎるあまりカラオケからの印税が低迷するのが目に見えるクソ高い声。本当にどうやって出しているのかは語られていないが、やはり喉を潰すことはことらしい。本人の日記でも声の苦悩が書かれている。

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あとはこういう、とにかく誰もが足を止めるようなクソ直球な表現しかしない小学生みたいなガキのような歌詞。バンド音楽にカッコよさなんかいるかと言わんばかりの飾りっ気のない歌詞。そこがとってもいいんだけどね。

あとあまり触れられていないが作曲能力も今のバンドの中ではめちゃくちゃ高くて、アルバム聴いて貰えばわかるんだけど全曲リードトラックみたいな構成。本人も何も考えてないようで意外にも曲の再生時間を意識しているらしく、現にクリープハイプの曲は3分半以上のものはそこまでない。

見た目でわかるがメンバー全員が全員いかにも売れないバンドマンという今の10代の頭の中にある、一種の人物像通りの人間。なにを売れないバンドマンぽさたらしめるのかと言われたらそれはメジャーレーベルに行っても一生インディーズの音楽を貫き通す子供みたいなことをしているからだろう。

そんな人間たちの陽の当たらない時代の曲なんかもう聞かなくてもヤバいことなんかわかってて

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この凶暴性ですよ。この頃から汚い画質もモノにする気だるさは既に出来上がってたらしい。このゴミみたいなミックスダウンがよくわからんが味になってるし。今なんかよりもより貧乏っぽさも増してて。サムネイルの人の目をつくためだけにあるようなツノのギターもリッケンバッカーという会社の安物だ。

歌詞もここ数年の曲ですらほかのバンドとは一線を画してたのに、より若者のこじれてる恋愛にフューチャーしてる。これ2010年ですよ。日本屈指のメンヘラ音楽。歌詞に出てくる男女どっちもクソめんどくさそうでイライラしてくるし。こういう、街ですれ違う赤の他人のいちばん汚いところみたいなのを書くのはこのときからめちゃくちゃうまかった。

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今でこそ10代から芸能人まで幅広い人から聞かれてるけど昔といえば、本当に聴いてるやつも常々尾崎世界観みたいなことしか考えてなかったんじゃないのかな。そういう先の見えない人たちはこのバンドを聴いて救ってくれそうだと思ってたんじゃないかないやおれその当時のひとじゃないからよくわからんが。

この曲のミュージックビデオは彼女と別れた後に撮ったらしい。そんないち成人男性のワタクシゴトに耳を傾けてしまうおれはおれです。風俗のことを言ってんのかみたいな歌詞も、常々うるさいオルタネイトピッキングのギターもヒゲが生えまくってるドラマーもそんな気持ちが反映されてるのかめちゃくちゃ怖い。ほぼ意味をなしてない目のモザイクも。

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さらにさかのぼって廃盤の音源。金欠みたいな録音が涙ちょちょぎれる。本当に人のプライベートにズカズカ入ってくるよなあこの人の歌詞。この歌詞の意味がDVする恋人のことだと知ったときなんか特にそう思った。タクシーの運転手との会話をここまで上手く切り取れるやつそうそういないんじゃないか。ギターの音作りが小川っぽいけど、この頃からいたのかな。

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さらにさらにさかのぼってバンド結成2年目2002年の廃盤からの音源。まだ尾崎祐介から尾崎世界観に改名してないとき。ちょうど自伝小説のスパンのあたるのだろうか。ツイッターの動画でも聞いたことのないヤバい音の割れ方してやがる。しかもグルーブと化してるのめちゃくちゃ面白い。

驚いたのは、尾崎世界観のボーカルの声が低いことである。本人が銀杏BOYZが大好きなのが影響しているのかわからないけど、明らかにそっちに傾倒しているピッチがあってれば音楽は成立するみたいなゴリラの歌い方。この頃はパンクからハイトーンボーカルなるなんて考えてなかったろうな。歌詞もめちゃくちゃ純粋だけど売れない時代の素直な気持ちが反映されててクソエモい。大丈夫あんた歌ってる時はかっこいいから…

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あたし本当は目撃したんです、クリープハイプ中島みゆきの不協和音ヤバすぎる。コピーとカバーの違いはこういうとこに生まれてくる。もう原曲とかは存在してないカバー曲。カバーって極端な話こんくらいだれのものかわからなくしないと成立しないのだ。今の整理整頓されたメロディも好きだけど、こっちの自分本位の歌もとてもいい。犬よかおれでも食うぞ。

ほんとうに今のご時世いろんなバンドがレーベルに音楽を潰されて後を絶たないけど、本当に売れるのは今も昔も自分の好きな音楽に真摯に向き合ってるバンドなんだとクリープハイプは証明してくれた。うわー見返してみると泥臭い文だけど尾崎世界観みたいでこれはこれでいいですね。みんなも聴きましょう。